生活保護の審査請求をしよう

生活保護の質問に答えます。役所の決定に疑問があったら、生活保護の審査請求をしましょう。

<生活保護とギャンブル> 【問】ギャンブルが原因で生活に困窮した場合は,生活保護は受けられないのですか?

 私はギャンブル依存症で,退職金をすべて,競馬などのギャンブルに使ってしまい,老齢年金だけでは生活できません。 そのため,生活に困り,知人に生活保護を受けることを相談しましたが,知人は,退職金をギャンブルに使って生活に困っても,それは自業自得であるから,そのような理由で生活保護を受けることはできないのではないかと言われました。

 私は,預貯金もなく,頼れるような親戚もおらず,老齢年金だけでは生活することはできませんが,退職金をギャンブルに使って生活に困った場合は,生活保護を受けることはできないのでしょうか。

 

【答】

 一般の市民の方の中には,退職金や預貯金をギャンブルに使って生活に困った場合は,それは自業自得であるから,そんな理由で生活保護を受けるのはおかしいという意見もあると思いますが,法律上は,そのような理由でも,生活保護を受けることはできます。

 これを「無差別平等の原則」生活保護法第2条)と言い,生活に困窮するようになった理由がどのようなものであっても(例えば,退職金や預貯金等をギャンブルに使い果たして,生活に困っている場合であっても),実際に収入がないか又は少なく,預貯金もなく,高齢や病気等で働くこともできず,頼ることができるような親戚等もいなくて,生活に困っている場合は,日本人であるならば誰でも生活保護を受けることができます(外国籍の人でも,一定の条件を満たす場合は,生活保護法が準用され,実質的に生活保護を受けることができます。)

 生活保護法の旧法(昭和21年9月制定)では,素行不良な者や生計の維持に努めない者は,絶対的欠格要件となっていましたので,生活保護を受けることはできませんでしたが,生活保護法の新法(昭和25年5月改正)では,この絶対的欠格要件が排除されましたので,生活に困窮するようになった理由がどのようなものであっても(健康で求職活動を行っているが,就職に至ってない場合なども含む。)実際に生活に困窮している場合は,生活保護を受けることができますので,役所に生活保護の相談・申請に行きましょう。

 また,健康で働くことができることを理由に保護を却下された場合は,法テラスを通じて弁護士に相談し,都道府県知事に審査請求を行うことを検討しましょう。

 

 

(参考)

生活保護

(無差別平等)

第2条 すべて国民は,この法律の定める要件を満たす限り,この法律による保護(以下「保護」という。)を,無差別平等に受けることができる